角換わり腰掛け銀の定跡の基本を解説していく

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角換わり腰掛け銀 定跡

角換わり腰掛け銀と聞くだけで、「ちょっと難しそう」と受け取ってしまう人も多いのでは、と思います。

そこで今回は、角換わり腰掛け銀の定跡の基本を、角換わり発祥から現在までの定跡の流れに沿って、初心者にも分かりやすく解説していきます。

角換わり腰掛け銀には無数の変化がありますが、定跡の中心となる部分を理解するだけでも全然景色が違ってきますよ!

では、早速説明に入りましょう。

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角換わり腰掛け銀は木村定跡から全てが始まった

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まず角換わり腰掛け銀を語る上で欠かせないのが、第14世名人・木村義雄が編み出した『木村定跡』というものです。

この木村定跡とは、下の第1図から先手が▲45歩△同歩▲35歩と攻めて攻めて攻めまくると言う、角換わり腰掛け銀の定跡手順のこと。

木村定跡 基本図

一見、ただ先手が仕掛けただけに思えますが、なんと、1図から先手が▲45歩と木村定跡で仕掛けると「先手勝ち」まで証明されており、この事実が70年以上経つ今でも覆されていません。

ここでは詳細に触れませんが、木村定跡の詳しい手順は大半の角換わりの本に書かれているので、興味のある方はチェックしておきましょう。

後手が考えた木村定跡対策

先ほども言ったように、第1図で▲45歩としたら先手の勝ちでした。

つまり、後手としては、適当に駒組みを進めたせいで第1図の局面にしてしまったのが敗因だと言えます。

そこで後手は駒組みをちょっと工夫をしてみます。

下の第2図は、先ほどの第1図の2手前の局面です。

ここで▲88玉△22玉と指せば、第1図に合流します。

2015-10-30b

木村定跡を目指す先手としては、第2図で▲88玉と指すわけですが、この時に後手が、以下の様に考えるわけですね。

 

2図で▲88玉とした時に△65歩から仕掛ければ、逆に後手の方が木村定跡できるんじゃね?(第3図)

 

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この作戦は見事に功を奏し、3図では『後手有利』と結論に至っています。

(なぜか、後手勝ちではないらしい。

でも、ここが将棋の面白い所。

後手の木村定跡返しに対する先手の対策

もう1回、第2図に戻りましょう。

2015-10-30b

第2図で▲88玉だと、後手が木村定跡返しをしてくるから後手有利。

なので、第2図で先手は工夫をして、▲45歩と早々に仕掛ける「▲88玉と指していないバージョンの木村定跡」を指すようになりました。

2015-10-30d

じゃあ、これでめでたく先手が木村定跡を発動して、先手有利なんだね☆」と思ったら、意外にも難しい。

ただ、▲88玉△22玉を省略しているだけなのに、「先手勝ち→形勢不明」と言う結論に至っているのです。

角換わり腰掛け銀の同型はアマには難しい

それに現在の定跡は後手の受けの技術も進歩しているので、先手が攻めを繋げるのは難しく、どうしても細い攻めを苦労して繋げていく、と言う展開になりやすいのも事実です。

なので、プロの角換わりの将棋を見ていると、飛車を切って馬と桂だけで攻める展開とかザラにあるし、アマチュアから見たら先手が苦しそうな局面でもプロ間では先手有利と判断されている、と言うこともよくあります。

例えば、王位戦の佐藤康ー渡辺戦(5図)とか、パッと見、良い勝負か後手ちょっとリードに見えますが、プロの判断では先手が若干リードしているみたいで、アマには難しすぎるんですよね。

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(ちなみに、この角換わり同型の研究は将棋ブログ・序盤のストラテジーさんの「角換わり 同形角換わり腰掛け銀 富岡新手」に詳しく載っています)

なので、アマチュアは角換わり腰掛け銀を組む時には同型を目指さずに、他の形を目指すべきです。

角換わり腰掛け銀・右四間バージョン

そこでアマチュアが角換わり腰掛け銀を指す場合は、右四間の形に組むバージョンをオススメします。

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6図以下の指し手

▲48飛△22玉▲88玉△42金右(7図)

このように▲88玉と玉を矢倉に入城させる前に▲48飛と右四間みたいに構えるのが、角換わり腰掛け銀の定跡となっています。

ちなみに、後手の△42金右は守備重視の構えで、将来的に先手が指すであろう▲41角の筋を消す狙いがあるのです。

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7図以下の指し手

▲28角(途中1図)△62飛▲25桂△24銀▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛(8図)

7図ではすぐに▲45歩から攻めたいですが、以下△45同歩▲同桂△37角(変化1図)と打たれて先手が苦しいです。

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基本的に角換わり将棋では、桂馬を跳ねた後に△37角から飛車を狙われて、その後に馬が守備に効いてくる展開になると、後手が勝ちやすくなります。

なので、先手としては、常に△37角の筋を警戒する必要があります

そこで生まれたのが、▲28角(途中1図)と言う自陣角です。

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この▲28角の狙いは2つあって、

  • △37角の手を消している
  • ▲25桂~▲45歩の後に▲64角からの後手飛車のコビンを狙う

と結構強力な攻め筋を秘めているんですね。

以下は、△62飛▲25桂△24銀▲45歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛(8図)と攻めて、次の▲85飛が受けにくく先手有利です。

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もちろん、実戦ではこんなに綺麗に決まる事は滅多になく、どこかで後手が変化をしてきます。

しかし、これらの手順や考え方が角換わり腰掛け銀の基本となるので、最低でもここまでは理解しておきたい所です。

まとめ

今回の解説で重要なポイントは、

  • ▲88玉の前に▲48飛
  • ▲とりあえず▲28角の自陣角
  • 木村定跡には気を付けてね

の3つです。

これで後は、実力で勝利をもぎ取るのみですね。

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