発売日に買って以来、面白すぎて3回ぐらい読み返した、飲茶著「14歳からの哲学入門」。
本書の作者である飲茶(やむちゃ)さんと言えば、表紙にバキの絵が描かれた「史上最強の哲学入門」があまりにも有名で、この本をきっかけに哲学にハマった人も多いはずです。
しかし、今作の「14歳からの哲学入門」は、「史上最強の哲学入門」と同等、いや、それ以上の素晴らしい内容だったので、感想やレビューを書いていきます。
有名な哲学者の思想をみっちりと解説
前作「史上最強の哲学入門」は、色々な哲学者の思想を分かりやすく砕けた文章で紹介していく、カタログ的な哲学入門書でした。
デカルトやカントの有名哲学者はもちろん、ニュートンやイエス・キリスト等の「え、哲学関係あるの?」と言うグレーゾーンの部分までを抑えた「広く浅くの入門書」と言う印象がありました。
しかし、本書「14歳からの哲学入門」では、デカルトやカント、ウィトゲンシュタイン等の王道的な哲学者11人に絞って、歴史の流れに沿ってより深く解説していくスタンスを取っています。
デカルトの解説が親切で助かった
例えば、デカルトの解説は、前作では分かりやすさを考慮してなのか、デカルトの有名なセリフ「我思う、故に我あり」の部分だけの解説でしたが、今作では「デカルトが提示した根本的な哲学の問題とは何か?」や「神の存在証明とはどんなものなのか?」まで解説されていたので、よりデカルトについて詳しく知ることができます。
ボク自身も、デカルトの「方法序説」を読み始めて第4章までは理解できたのですが、その後、全然理解できず完全解読を諦めていたのですが、本書が大いに理解の手助けになりました。
(神の存在証明の所で「は?」と思っている人は、一気に視界が開けます。
他にも、以下の哲学者のことが詳しく書かれています。
- ニーチェ
- ヒューム
- カント
- ヘーゲル
- キルケゴール
- サルトル
- レヴィ・ストロース
- ウィトゲンシュタイン
- デリタ
- ボードリヤール
中でも、ウィトゲンシュタインの哲学が衝撃的でしたね。
今までの哲学って何だったの?と言う感じで、むしろ哲学で感動すら覚えるレベルです。
飲茶哲学の衝撃
本書によると、哲学の流れは、様々な「○○主義」と言った考え方・思想が生まれては、次の世代が前世代の「○○主義」を否定して、新たな「△△主義」を作っていく、と言うことを繰り返しています。
しかし、哲学者ウィトゲンシュタインが生み出した「言語ゲーム」と言う思想によって、今まで人類がつい上げてきた哲学を全否定されて、現在まで哲学の歴史が完全にストップしてしまうのです。
じゃあ、ウィトゲンシュタインの次の世代の哲学を、ウィトゲンシュタインの次の世代であるボク達が、新たな哲学を作り上げていく必要があるわけですが、そこで本書では最後の締めくくりとして、飲茶さんは「飲茶哲学」とも言うべき衝撃的な思想を残していました。
では、翻って言おう。僕たちは、今、記号消費社会に生きているが、僕たちがやっている仕事、もしくはこれから就職してやろうとしている仕事は、実は、この「穴掘り」なのではないだろうか?
「14歳からの哲学入門」p.327
上の文章は飲茶哲学のほんの1部分ですが、この2,3行にかなり衝撃を受けた人も多いはずです。
働くとは何なのか、どのように人生を歩めばよいのかを、社会人だろうが学生だろうが真剣に考えざるを得なくなります。
上の文章だけ抜粋して読んでも理解できないと思いますが、本書を最初から読んで初めて理解できると共に、鳥肌が立ってしまいます。
もしかすると、本書の核心は、ただ単に哲学者の思想を分かりやすく紹介する所にあるのではなく、最後のたった30ページの飲茶哲学にあるのかもしれません。
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