photo credit: Morning Star Moon Landing
普段あまりSF小説を見ないのですが、今回は思い切って挑戦してみました。
今回読んだのは、『星を継ぐもの』と言う小説です。
本書は初版が1980年と30年以上前のものですが、内容に古さを感じさせず、むしろ新しい感じがするスケールの大きい小説でした。
『星を継ぐもの』のあらすじ
ある月面調査の時に、真紅の宇宙服をまとった死体が発見されます。
しかし、驚く事にその死体は、地球人のものでもなく現代のものでもない、5万年前に死亡した宇宙人の死体だったのです。
主人公である天才物理学者、ヴィクター・ハントを中心に世界中の天才達が、「彼はどうやって月に来たのか?」「彼はどんな惑星に住んでいたのか?」「そもそも彼は何者なのか?」を科学的に解明していく、と言う話です。
なので、スターウォーズの様なバトル要素は1つもなく、5万年前に死んだ宇宙人の謎を解き明かす、と言うストーリーになっていました。
不思議なプロローグから物語が始まる
本書は「宇宙人の謎を科学的に解き明かす」と言う、結構地味なストーリー展開をしているのですが、その地味な話を盛り上げるために、読者の知的好奇心を掻き立てる仕掛けが多く盛り込まれています。
例えば、ボクが一番グッと来たのは、プロローグの最初の1文。
つまり、この小説の冒頭の部分です。
どこか深いところからゆっくりと浮かび上がるように、彼は意識を取り戻しかけていた。
本能的に彼は意識の回復を嫌った。彼はあたかも何らかの意思の力によって、無意識と意識の隔たりを埋める容赦のない時の流れを押し留め、極限の消耗の苦痛とはいっさいの縁のない無窮の非存在に立ち帰ろうとするかのようであった。
こんな文章から物語がスタートしたら、「彼って誰や?」とか「彼に何があったんだ!?」と言う疑問を自然と抱かざるを得ないでしょう。
しかも、上の文章から少し進んだ所で、一見意味の分からない文章がぶち込まれてきます。
ブルーの斑点に焦点を結ぶと巨人コリエルの姿がくっきりと視野に浮かんだ。
この『巨人』と言うのは、ただ背の大きい人の比喩で書いているのか、本当に『進撃の巨人』のようなものを言っているのかは、現時点では分かりません。
しかも、『巨人』の真の意味が分からないまま、プロローグが終わります。
「え、結局何だったの?」と言う疑問を抱いたまま、本編へと突入します。
科学の知識が増えて、少し賢くなる
本書では、様々な科学の知識が随所に紹介されて、少し賢くなった気分になります。
人間の適応は様々な点で完成には程遠いものです。内臓の配置などはまだまだ改良の余地があります。と言うのも、もともとこれは上体が水平に置かれた動物に適した構造として発達したものを人間が受け継いだからであって、直立の姿勢では不向きだからです。
例えば、呼吸器系を見ても、老廃物や汚染物質は咽喉部に溜まって、本来は体外に排出されるはずのものが、体内に排出されています。
何だか難しい文章ですが、要は「進化論」の話をしているらしく、科学好きにはこの手の話はたまらないでしょう。
実は本作は3部作
実は本作は1話完結ではなくて、3部作に分かれる長編SF小説でした。
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『星を継ぐもの』と続編となるのが、「ガニメデの優しい巨人」です。
第1作目で人類は、5万円前の宇宙人の正体を突き止めた後、本格的に宇宙探索に臨むのですが、その時に実際に宇宙人と遭遇してしまう、と言うのが2作目の話です。
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そして、3部作完結の3作目。
ネットの口コミを見てみると、前2作は科学要素が強めですが、3作目は政治要素が強く出ているようです。
ですが、シリーズ完結編として感動を覚える読者もいたようですね。
ボク自身は、まだ『星を継ぐもの』にか読んでいませんが、近いうちに3部作を読み終えたいなと思っています。
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