簿記1級の勉強をしている時に、参考書にはほとんど載っていないのにいきなり直前予想模試で「一株当たり当期純利益」の問題が出てきて、全然解けなかったと言う経験はありませんか?
ボクもまさに同じ経験をしたことがあり、そこから「一株当たり当期純利益」の勉強をしてある程度知識が付いてきたので、今回は「一株当たり当期純利益」とは何か?や計算方法を紹介していきます。
ぜひ、参考にして下さい。
一株当たり当期純利益の計算方法とは?
一株当たり当期純利益(以下、EPS)とは、名前の通り、一株当たりの純利益を示すもので、計算式は以下の様になっています。
上の公式で意外に重要なのが、「普通株式の」と言うフレーズです。
じつは、企業が発行する株式には以下の3種類に分けることができ、それぞれが異なる特徴を持っています。
- 普通株式・・一番メジャーな株式。世間一般の株のイメージに一番近いもの。
- 配当優先株式・・配当金を優先的に多くもらえる株式。
- 劣後株式・・配当優先株式の逆バージョン。
もともとEPSを求める意義と言うのは、投資家にとって「この会社の株を買うと、どれだけの配当金が見込めるか?」の目安になり、投資するかどうかの判断材料になることです。
なので、例外的な配当優先株式とか劣後株式を全部まとめて計算してEPSを求めるよりも、一番メジャーな普通株式に関する情報だけでEPSを求めた方が、信頼のおける情報を投資家や株主に提供ができるわけです。
EPSの問題を解いてみる
(問題)当期純利益は150,000円。
普通株式は当期3回発行しており、1回目が2,000株、2回目が3,000株、3回目が4,000株だった。また、配当優先株式の発行は500株だった。EPSを求めよ。
まずは、当期の普通株式の期中平均株式を求めていきます。
9,000株÷3回=3,000株
と求まります。
また、配当優先株式は、いくつあろうがEPSを求めるのに関係はありません。
そして、当期純利益は150,000円なので、
150,000円÷3,000株=50円
となり、当期のEPSは50円となります。
発行済の株式に自己株式が含まれる場合
問題によっては、自己株式が含まれている場合があります。
この場合は、先ほどのEPSの計算式の分母を「期中発行済株式-期中平均自己株式数」に変えてあげればOKです。
(問題)当期純利益は150,000。期中発行済株式は6000株、自己株式は500株ある。
この問題だと、「150,000÷(6000-500)」としてあげれば良いです。
また、連結会計の場合は、子会社が持っている親会社の株式の内、親会社の持分に相当する株式も自己株式に含めます。
例えば、親会社P社は子会社S社の60%の株式を所有して支配しているとします。
また反対に、S社の方もP社の株式を100株持っています。
この場合、「S社が持っているP社の株式100株×親会社P社の持ち分60%=60株」と言う計算をして、この60株もP社の自己株式として、EPSの計算をしていくと言うことです。
以上の会計処理は、「1株当たり当期純利益に関する会計基準」にしっかりと記述されているので、参考までに引用を載せておきます。
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第12項にいう普通株式の期中平均株式数は、普通株式の期中平均発行済株式数から期中平均 自己株式数を控除して算定する。
なお、連結財務諸表において1株当たり当期純利益を算定す る際には、本会計基準にいう自己株式数は、子会社及び関連会社が保有する親会社等(子会社 においては親会社、関連会社においては当該会社に対して持分法を適用する投資会社)の発行 する普通株式数のうち、親会社等の持分に相当する株式数を含めるものとする。
引用:https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/touki/touki_1.pdf