プロ間では、今では全く見ることがない「立石流」ですが、ネット対局ではたまに見かけますよね。
そんな時に限って、立石流の対策法を知らなくて、相手にボコボコにされた経験を持っているのではないでしょうか?
そこで今回は、プロ間では10年以上前から「立石流対策の決定版」と結論付けられている対策を紹介します。
ぜひ、参考にして下さい。
立石流の狙いとは
1図は、立石流によく表れる局面です。
ここから後手は、△42銀~△43銀~△52銀と美濃囲いを完成させた後に、△64角~△36歩や△44角などのように、角を使って攻められる展開になりやすいです。
(1図)
立石流に組まれると、どうしても後手の方がペースを握りやすい展開になってしまいます。
それでは先手が面白くない、と言うことで、プロ間で対策が立てられました。
立石流対策:序盤早々に▲77角と打とう
2図を見て下さい。
2図は、後手が△35歩と立石流の意志表示をした局面です。
(2図)
ここで先手は、▲77角と打つのが、立石流対策の決定版です。
この手だけで、後手は立石流にどうしても組めなくなっています。
この▲77角の狙いは、2つあります。
- 後手の飛車が44の地点に移動できなくする
- 後手の33の桂馬をいじめつつ攻める
立石流に組むためには、飛車を42~44~34と移動させなければいけません。
つまり、44の地点に飛車を移動させなければ、立石流に組まれることは、まずあり得ません。
それに、後手は飛車が44に上がれなくなったので、桂頭の守りがかなり薄くなるんですね。
先手としては、ここをねらい目として攻めていきます。
補足:△44角としてきた場合
1図から駒組みが進んで、相手が△44角としてきたとしましょう。
(変化図)後手の狙いは、▲44同角△同飛として、飛車を44に移動させることです。
(変化図)
もちろん、先手は角交換には応じず、▲66銀と角道を防ぎます。
その後は、△54歩▲24歩△同歩▲55歩から攻めていけば、有利を築けるでしょう。
浮き飛車に構えて桂頭を狙う
2図から、▲77角△62玉▲26飛△72玉▲58金右と進んで、3図です。
▲26飛は、後手の桂頭を狙う1手。
▲58金右は、後で解説しますが、大事な一手になります。
(3図)
3図からの指し手
△43金▲36歩△同歩▲同飛△34歩▲26飛(4図)
(5図)
△43金は、苦心な受けの手ですね。
他に桂頭を守る手が後手にはありません。
また、最終手の▲26飛は、2筋からの突破を狙いつつ、△28角の打ち込みを消した手です。
ここで、先手が▲58金右と上がらずに、49の地点に金を待機させていたら、▲36歩△同歩▲同飛に△27角があるので、注意が必要です。
後は駒組みをしていく
後はゆっくりと駒組みしていけば、陣形の差を利用して有利に立つことができるでしょう。
ちなみに、プロの実戦例(「杉本昌隆六段」対「久保利明七段」2002年)では、下図のような形から杉本六段が快勝しています。
ここまで組めると、先手は、
- 立石流の理想形を防げた
- 角と金銀4枚の美濃囲いに組めた
- 3筋の歩を交換
とポイントを稼いで、満足いく展開に持ち込めました。
この局面になると、先手側の勝率も5~6割はいくのでは、と思います。