佐藤優「読書の技法」の書評・要約を書いていく

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佐藤優 読書の技法

先日、佐藤優著「読書の技法」を読んでその内容が非常にタメになることばかりだったので、備忘録がてら記事にまとめておきます。

佐藤さんに関しては、今までは「書店のビジネス書コーナーでよく見る顔」と言うイメージでしかありませんでしたが、今回初めて著作を読んで、読書に関する知識や自身の体験に基づく読書法には驚かされるものばかりでした。

では、早速紹介に移ります。

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読書をする目的とは何なのか?

そもそも、ボクたちはなぜ、読書をしようとするのか?

世間一般では、読書の効果は「知識を増やすことにある」と言う意見が大半ですが、著者は読書をする意義について、以下のように述べています。

重要なことは、知識の断片ではなく、自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ。そうではなくては、本物の知識が身についたとは言えない。

(中略)

断片的な知識ではなく、知識を結び付けて体系になって初めて体系知としての学問になると言う考えだ。

「読書の技法」p.58

つまり、例えば「昭和初期の時代に世界恐慌が起こった」と言う知識を本から取り入れるだけではなく、何で世界恐慌が起こったのか、その知識を基に現在の不況と何かしらの関連を見つけられるか、と言うのが大事と言うことです。

と口では「知識を取り入れるだけじゃダメだよ」と言うのは簡単ですが、実際に行動に移すのは難しいです。

そこで筆者は、どのようにすれば体系知を得られるかの方法論を、以下の3つのポイントに分けて述べています。

 

1、読書の時はシャーペンを使う方が良い

 

本を読みながら、重要と思う部分の欄外に線を引き、わからない部分については「?」マークを記す。重要な部分かどうか迷ったら、とりあえず線を引く。

本を読み終わったところで、ほとんどのページに線が引かれているような状態になってしまうこともあるが、読了してみると、今度はどの部分が本当に大切であったかがわかるので、不要な線は消しゴムで消せばよい。

本書 p.64

読書が好きな人ほど、本を汚す、本に書き込むことを躊躇う人が多いと思いますが、この方法は強くオススメします。

ボクも騙されたと思って本に線を書き込み始めましたが、大事な部分に線を引くのが記憶の補助役になってくれているし、前よりも内容の全体像が見えるようになってきました。

佐藤さんはシャーペンを使って線を引く主義のようですが、ボクは見やすさ重視で、無印良品の消せる赤ペンを使っています。

まあ、ここら辺は個人の趣向の違いが出ますね。

2、さらに重要な部分を厳選してノートに書く

本の内容をどっぷりと理解して記憶するために、ただシャーペンで線を引くのではなく、また同じ本を再読して本当に重要な部分には四角で囲んでいきます。

そして、四角で囲んだ所は、ノートに書く移して記憶の定着を図ります。

囲んだ部分のすべてを書き写すには及ばない。定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うのだが自分で意味がよくわからない部分を書き写すのだ。

本書 p.68

要は、本の中で知りたいこと今後役に立ちそうな知識をノートに書き写しておけ、と言うことなんですね。

また、英単語を覚える時に何度も紙に書いて覚えたように、本の内容をノートに書くと言う行為が、さらに記憶を強固なものにしてくれます。

3、結論部分を3回読んだ後、1回通読する

本文の中で挙げられた事例や立証がこの結論とどうかみ合っているかを考えながら通読する。本書※のような優れた専門書の場合、結論と無縁な記述はない。

第三読を始めると、読者は第一読で分からなかった部分のほとんどが理解できるようになっていることに気付くと思う。

本書 p.70

※アントニー・D・スミス「ネイションとエスニシティ 歴史社会学的考察」のこと

最後に本の内容を完全に自分のものとするために、結論部分を3回読んで、もう1回通読します。

何回も読み直していますが、これぐらいしないと本当に役立つ知識が得られないのでしょう。

もちろん、「こんなヒマないよ」と言う人も多いと思いますが、筆者自身は「絶対にこの方法をしろ」と言う感じではなく、あくまでも参考にして読書をすべきだと言っています。

なので、通勤通学時に線を引いた部分を見直す、とか無理なく続けられるように工夫するのが重要になってきますね。

本書は他にも、おすすめの本(哲学、社会学が多い)や速読の方法を紹介したり、読書をさらに効率よくするための方法なども書かれていて、読書法を紹介したビジネス書でも群を抜く出来なのでは、と感じます。

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