あなたは、ネットや大会でたまに見かける「筋違い角」に、大いに苦しめられているのではないでしょうか?
しかし、実はプロ間では「筋違い角は使えない戦法だ」という結論が出されていて、コツさえ掴めば、筋違い角なんて恐るに足りない戦法なのです。
今回は、筋違い角を絶滅に追い詰めた対局である、「羽生善治VS鈴木大介(竜王戦)」の一戦を題材にして、筋違い角対策のコツを紹介していこうと思います。
ぜひ、参考にして下さい。
テーマ図からの指し手
テーマ図は、先手が筋違い角を意思表示した局面です。
- △62銀
- △62飛
- △52金右
などが考えられますが、今回は、△62銀としていきます。
(テーマ図)
テーマ図からの指し手
△62銀▲34角△32金▲66歩△33銀▲67角△64歩▲88銀△63銀▲77銀△54銀▲68飛△44歩▲75歩△45歩(2図)
注)ネット対局では▲67角ではなく、▲78角と角を引く人も多く見かけますが、今回紹介する作戦は、どちらに角を引いても通用する作戦なので、ご安心ください。
Point1:腰掛け銀+4筋の位の形に組む
筋違い角対策の第一歩は、2図の様に、「腰掛け銀+4筋の位」の形を目指しましょう。
- 先手の筋違い角を全く働かせないようにする
- 後々のために攻め味を見せておく
この2つのメリットは、対局を追っていくと理解してもらえると思いますが、特に、先手の筋違い角は、全く役に立たないようになります。
(2図)
2図からの指し手
▲58金左△34銀▲48玉△24歩▲38玉△43金▲86歩△25歩▲85歩△22飛(3図)
Point2:向飛車+駒落ちの上手のような形を作る
次のポイントとしては、向飛車+駒落ちの上手がやるような形に組みましょう。
後手としては、とにかく相手の筋違い角を使わせたくないのです。
もし、筋違い角が攻めに使えなかったら、先手にとっては、ただの悪形でしかありませんし、後手だけが角を持ち駒にしている分だけ指しやすくなるのです。
3図からは、お互いに駒組みを完成させて、飛車先交換をしていきます。
長手数になりますが、一気に並べます。
(3図)
3図からの指し手
▲28銀△72金▲88飛△26歩▲同歩△同飛▲27歩△22飛▲48金上△33桂▲84歩△同歩▲同飛△83歩▲86飛(4図)
Point3:歩を補充しつつ攻めの準備をする
ここから、いよいよ後手は攻めの準備に入ります。
そのために、銀を5段に進出させ、4筋の歩交換に迫ります。
おそらく、後手玉が居玉であることに気持ち悪いと感じる人もいるかもしれませんが、この局面では、左辺に玉を移動させても、金1枚しかいないし、先手が攻めるとしたら8筋からになると予想されるので、玉を戦場から遠ざける意味でも居玉の方が良いと言う判断でしょう。
(4図)
4図からの指し手
△35銀▲68銀△46歩▲同歩△同銀▲47歩△35銀▲77桂△14歩▲16歩△45桂(5図)
Point4:あとは攻めまくろう
(5図)
ここまで来れば、あとは攻め合いに持ち込めば、自然と後手が有利になっていきます。
5図からの指し手
▲82歩△26歩▲同歩△36歩▲81歩成△26銀▲23歩△37歩成▲同桂△32飛▲45角(6図)
(6図)
激しい攻め合いになってきましたが、ここからの後手の羽生さんの攻めが、お手本のようなきれいな攻めなので、ぜひ盤に並べてほしいです。
6図からの指し手
△36歩▲33歩△37歩成▲同銀△33飛▲34歩△37銀成▲同金△34金▲67角△45桂(7図)
(7図)
さらに、おかわりの△45桂で、後手陣は崩壊しました。
以下は、後手が何もしてこなければ、△37桂成~△45金で優勢ですし、▲36歩とかしてきても、同じように攻めれば勝てるでしょう。
[amazonjs asin=”4861916992″ locale=”JP” title=”初段になるための将棋勉強法”]
[amazonjs asin=”4861370086″ locale=”JP” title=”上達するヒント (最強将棋レクチャーブックス(3))”]