By: Ninian Reid
アガサ・クリスティーと言うイギリスの作家さんが書いた「そして誰もいなくなった」を読んだので、そのあらすじと感想を書いていきます。
普段は海外文学なんてほとんど読まないですが、これを機にどっぷりハマりそうで怖いです。
「そして誰もいなくなった」のあらすじ
物語の舞台となるのは、『兵隊島』と言うイギリスのある小島。
「イギリス王室の別荘になるのでは!?」とか「海軍が極秘実験のために買収」など数々の噂が飛び交う兵隊島に、10人の男女が招待されることになった。
だが、10人が島に着いても招待主の姿はなく、やがて不気味な童謡の歌詞通りに、10人が次々と殺されていく。
イギリスが生んだ、ミステリー小説の至宝。
「そして誰もいなくなった」の感想
小説を読んでこんなに寒気がしたのは久しぶりかも、と思うぐらい恐怖心が沸き起こるストーリーでした。
ホラー映画の様に「怖いからこれ以上見たくない!」と思いつつ、続きが気になるのでつい読んでしまう。
こういう心理に読者を無意識にさせている、と言うのも怖いです。
童謡の歌詞が読者を恐怖のどん底に陥れる
でも、なぜここまで読者を恐怖に陥れているのか?だって、タイトルに「そして誰もいなくなった」と結末が書かれているから、そんなにヒリヒリしながら読む必要もなさそうですよね。
さて、島に着いた10人は、その島にある大きな館で寝泊りをすることになります。
その10人の個室全てに、このような童謡の歌詞が書かれた色紙が飾られているのです。
小さな兵隊さんが10人、ご飯を食べにいったら
1人がのどをとまらせて、残りは9人小さな兵隊さんが9人、夜ふかししたら
1人が寝ぼうして、残りは8人小さな兵隊さんが8人、デヴォンを旅したら
1人がそこに住むって言って、残りは7人小さな兵隊さんが7人、まき割りをしたら
1人が自分を真っ二つに割って、残りは6人(以下、続く)
このように、10人がどのように死んでいくのか、どんな順番で殺されていくのかが各部屋に書かれているのです。
登場人物たちも最初にこれを見た時は、「ハハハー、何だコレー」と言う感じで冗談半分に受け取っていたのですが、事態が変わると、この童謡に苦しめられることになるのです。
「ありえなさ」が本書の面白さを引き出す
冷静に考えると、本書では結構「この設定ありえなくね?」とツッコミを入れたくなる部分が多くあります。
まず最初は、「なぜ10人は、兵隊島に自分が招待されたのを奇妙に思わなかったのか?」ということです。
だって、これって今の感覚で言うと、「ARASHIのコンサートのチケットが当選しました!」と言うはがきが家にいきなり届いた、と言う感じですからね。
あと、10人の内1人の殺され方が、ボクとしては納得がいかない部分がありました。
ネタバレになるので突っ込んだ所は話せませんが、「いや、何でだよ」と思わざるを得ない殺され方でした。
でも、この「ありえなさ」が含まれているからこそ、物語としての面白さを一層深めているわけだし、最後の結末には恐怖を通り越して感動すら覚えるのかな、と思います。
実は1939年初版の本だった
読んだ後に「こんなに面白いから、結構最近の小説かな?」と思って調べたら、実は1939年初版の小説でした。
第2次世界大戦前でこのクオリティーは、圧巻の一言です。
確か、アニメの「トムとジェリー」も戦前から製作されているアニメだとか。
戦前の作品は、今ではNGなぶっ飛んだ発想が新鮮に見えるのかもしれません。
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