初心者の間では、「原始中飛車」が猛威を振るっていますが、適切な受け方さえ知っておけば、恐れる必要はありません。
そこで今回は、原始中飛車の初手から対策する側が有利になるまでを、丁寧に解説していきます。
ぜひ、参考にして下さい。
原始中飛車の狙い
原始中飛車の狙いは、至って単純です。
下の図の様に、5筋に飛車、角、銀を集めて5筋から攻めていくという単純な攻めを狙いとしています。
狙いが「5筋からの攻め」しかないので、後手としては5筋の攻めを受け切ってしまえば、先手からの攻めはなくなりますし、ゆっくりと反撃に転じれば、自然と有利を築いていけるのです。
原始中飛車の定跡手順
では早速、原始中飛車の定跡手順を見ていきましょう。
初手からの指し手
▲76歩△84歩▲68銀△34歩▲77銀△62銀▲56歩△54歩(1図)
1図は、原始中飛車の出だしの局面です。
原始中飛車の組み方は色々とあるのですが、ここでは矢倉っぽい駒組みから原始中飛車へ組むようにしました。
1図からの指し手
▲66銀△85歩▲77角△42玉▲58飛△32玉▲48玉△52金右▲38玉△42銀(2図)
1図からは、▲66銀が肝心な手で、▲66銀の代わりに▲58飛とすると、△85歩とされて早くも駒組みが難しくなります。
2図になって、いよいよ先手が5筋から攻撃を開始します。
2図からの指し手
▲55歩△同歩▲同銀△53銀右▲54歩△44銀▲同銀△同歩(3図)
▲55歩△同歩▲同銀は当然の流れですが、ここで△53銀右と、後手が積極的に守ろうとするのが好手となります。
また、最後の△44同歩の時に△同角と角で銀を取るのは悪手で、▲53銀から攻め潰されてしまいます。
原始中飛車の対策で重要なのは、相手に攻め駒を渡さないようにして、攻めを切れさせることです。
なので、△44歩は相手に攻め駒を渡さない手だと言えます。
3図からの指し手
▲53銀△43金▲42銀成△同金▲53銀△52歩▲42銀成△同玉(4図)
3図から先手は▲53銀と5筋を強襲してきますが、△43金とかわしておくのが好手です。
△43金としておくことで、後に52に歩を打てる効果が出てきます。
52の地点に、金がいるか歩がいるかで、後手の守備力が天と地ほどの差がありますね。
4図からの指し手
▲46歩△33銀▲28玉△65銀▲38銀△76銀▲78金△31角▲66角△32玉(5図)
先手は▲46歩~▲45歩と角交換を迫る手を指してきますが、▲45歩には△33銀と手堅く受けておきます。
△33銀とした後は、先手には有効な攻め筋がありませんね。
以下は、後手は△65銀としたり、△31角~△32玉と、遊びごまである角を活用しつつ、唯一の不安材料である玉型を整えます。
5図の局面は、後手優勢とまではいきませんが、後手は△86歩から飛車先を突破したり、△69銀などと手に困りません。