By: Yuya Tamai
小説「功名が辻」を読んだので、あらすじと感想を書いていきます。
本作は、仲間由紀恵さんと上川隆也さん主演の2006年の大河ドラマにもなって、有名になった小説です。
久しぶりに歴史小説を読んだのですが、本書は歴史小説らしからぬ部分が多々あり新鮮でした。
功名が辻のあらすじ
どこにでもいる平凡な武士・山内一豊が、賢妻である千代の支えによって戦国乱世で出世していくと言う話。
ネタバレをすると、一豊は信長・秀吉・家康と使える家を変えていき、最終的には土佐(現在の高知県)24万石の大名にまで出世をして、その子孫が明治維新の中心を担うことになります。
歴史小説と言えば、織田信長とか豊臣秀吉とかの天才が、常人離れした戦略・戦術で次々と強大な敵を倒す、と言う感じの少年ジャンプっぽさがありますが、今回の主人公の一豊は凡人の中の凡人です。
その凡人が、コツコツと出世していく物語で、共感できる人も多いはず。
ちなみに、タイトルの「功名が辻」の意味は、功名は「手柄」のこと。
辻とは「十字路」のこと。
つまり、功名が辻とは、「手柄・出世への分かれ道」みたいな意味です。
功名が辻の感想
今回の「功名が辻」の小説で、筆者の司馬さんが選んだ主人公は一豊と千代ですが、そのチョイスが今までの歴史小説よりも一味違った良さを引き出したと思います。
戦国時代の豆知識が面白い
例えば、織田信長だったら筆者は書きたいことがたくさんあると思うんですよ。
桶狭間の戦いとか長篠の戦いとか、信長の晴れ舞台はいくらでもあります。
と言うより、桶狭間だけで文庫本1冊とかあるぐらいです。
ですが、山内一豊には、そこまで特筆するような偉業とか逸話がないんですね。
だから、書くことがあまりない。
だから、話の所々に戦国時代の豆知識をぶち込んでいます。
信長には準備が必要であった。かれは弱年のころ、小部隊をもって桶狭間の今川義元の陣営を奇襲し、文字どおりの奇勝をあげたことは有名だが、それ以後のかれの合戦の仕方は慎重そのものであった。
戦いの前に十分な外交を行い、偵察をし、謀略を用い、しかもいざ合戦となれば敵を圧倒するだけの兵力を集結し、待ちに待って、はじめて火のように攻撃をしかけるのです。だから、戦えば必ず勝つ。
こういう、戦国武将の戦略の考え方とか性格って、なかなか歴史小説では直接書かれる事はないのですが、本書では平素な文で分かりやすく信長の特徴を紹介していました。
読み返したくなる中毒性
この小説には一種の中毒性の様なものがあって、ヒマな時に読み返したくなる時があります。
本書は文庫本で計4冊と量としては多い方なのですが、1文1文が平素で読みやすいですし、本書は大きく4つに分かれていて、
- 信長の家臣の時期
- 秀吉の家臣の時期
- 家康の家臣の時期
- 大名になった後
この4つから自分のお気に入りのシーンを、かいつまんで読むことができるので、精神的にも負担がなく復習ができるのです。
特に、第1巻の『長篠の戦い』や第3,4巻の『関ヶ原の戦い』のシーンは、ついつい読み返してしまうほど興奮を覚えます。
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