TSHとTRHの大きな違いは、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が甲状腺によるホルモンの産生を調節するのに対し、TRH(甲状腺放出ホルモン)は下垂体を刺激してTSHを産生・放出させるという点です。
TSHとTRHは、甲状腺ホルモンの産生と放出に関わる2つの甲状腺ホルモンです。
甲状腺では、サイロキシン(T4)が作られ、次にトリヨードサイロニン(T3)が作られます。
TSHとは
TSH(甲状腺刺激ホルモン)とは、甲状腺を刺激して甲状腺ホルモンを分泌させる働きを持つ下垂体ホルモンのことです。
一般に、甲状腺はサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)という2つのホルモンを産生します。
この2つのホルモンの主な働きは、各組織の新陳代謝を促進することです。
TSHは糖タンパク質の構造をしており、下垂体前葉の甲状腺細胞で産生される。
また、TSHの糖タンパク質は、αサブユニットとβサブユニットの2つのサブユニットをもっている。
図1: TRH
さらに、TSHは血液中のT4とT3ホルモンの濃度を調節している。
TSHの分泌は生涯を通じて行われ、成長・発達が著しい時期には高レベルに達する。
また、ストレスに応答してTSHの放出レベルが高くなる。
TRHとは
TRH(甲状腺放出ホルモン)とは、視床下部の神経細胞から分泌されるホルモンです。
TRHの主な働きは、下垂体前葉から2つのホルモンを放出することです。
それらは、TSHとプロラクチンです。
一方、TSHの主な働きは、甲状腺ホルモンの血中濃度を調整し、その産生と放出を制御することです。
また、プロラクチンは乳汁分泌に関与している。
図2:甲状腺の働き
さらに、TRHは、室傍核という神経細胞集団で作られるトリペプチドホルモンです。
このホルモンを神経線維が血液に運びます。
一般には、これによって下垂体におけるTSHホルモンの産生・分泌が調節される。
しかし、TSHの寿命は2分と非常に短く、血流に乗って移動する距離も2センチ前後と少ない。
TSHとTRHの類似性
- TSHとTRHは、脳から分泌される2種類のホルモンです。
- どちらのホルモンも甲状腺ホルモンの産生と分泌を促進するのが主な働きです。
TSHとTRHの違い
定義
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺ホルモンの分泌を調節し、TRH(甲状腺放出ホルモン)は視床下部から分泌されるホルモンで、TSHの分泌を調節している。
ホルモンの種類
TSHは糖タンパク質のホルモンで、TRHはトリペプチドホルモンです。
生産
また、TSHは下垂体前葉の甲状腺細胞から、TRHは視床下部の神経細胞から産生される。
機能
TSHは甲状腺のホルモン産生を調節し、TRHは下垂体を刺激してTSHを産生・放出させる。
結論
簡単に説明すると、TSHとTRHは、ヒトの脳で作られる2つのホルモンです。
両ホルモンの主な働きは、甲状腺ホルモンの産生を調節することです。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は、脳の下垂体前葉から分泌されます。
また、甲状腺からの甲状腺ホルモンの産生を調節する役割を持つ糖タンパク質ホルモンでもあります。
一方、TRH(甲状腺放出ホルモン)は、視床下部から分泌されるトリペプチドホルモンです。
また、TRHの主な働きは、下垂体を刺激してTSHを産生させることです。
したがって、TSHとTRHの主な違いは、その機能にあります。