By: Kevin Dooley
全くの季節はずれですが、ディケンズの『クリスマスキャロル』を読んだので、感想を書いていきます。
ボクは見ていませんが、映画化されたりディズニーでリメイクされたりと、様々なメディアで作品の題材として取り上げられているようです。
今回は、そんなクリスマスの名作について紹介していきます。
クリスマスキャロルのあらすじ
ケチで冷酷な商人のスクルージ爺さんがクリスマスの夜に、死んだはずの仕事仲間・マーレイと再会することになります。
その後、マーレイの予言通りに翌日から3人の幽霊と対面して、それぞれの幽霊に過去・現在・未来の自分の姿を見せられて、次第に改心をしていく、と言う話です。
思いっきりベタな内容の話なんですが、その結末にいくまでにスクルージの心情の変化だったり、登場人物の心情がもろに伝わる情景描写の描き方などに心を奪われてしまうのです。
例えば、スクルージが改心をする前の状態については、本書では以下の様に表現をしていました。
彼の心の冷たさが、年老いたその顔つきを凍らせ、尖った鼻を痺れさせ、頬を皺くちゃにして、歩き方をぎこちなくさせ、目を血走らせ、薄い唇を青くした。(中略)
彼の行くところはどこにでも冷たさがつきまとった。真夏の暑い盛りに、事務所がつえ切っていたのがいいが、クリスマスの季節になっても、温度は一度だって上がらなかった。
ただ「冷酷でケチなじいさん」と言われるよりも、上記の様に周りの風景の事も書かれていると、より一層スクルージの冷酷さが伝わってきます。
本書では、このような表現豊かで分かりやすい情景描写が多く出てくるので、一つの見どころと言えるでしょう。
補足:スクルージと脇役の対比が絶妙だった
上記での様に、スクルージは性格についてボロかす書かれていますが、他の登場人物(脇役)は、誰一人例外なく、貧乏だけど人生を謳歌している様な書き方をされていました。
このスクルージと脇役の対比が絶妙で、「冷酷VS歓喜」と言う関係が作品を通して鮮明に写しだされています。
なぜ現在も本作は読み継がれているのか?
現在売れている本でも、数十年後には本屋に置かれないようになったり、絶版になったりするのは良くあることです。
しかし、本書は1843年初版で150年以上経った今でも、多くの人に読み継がれているのです。
なぜここまで長く読み継がれるのかと言うと、どの時代でも変わらない人生についての『不変の真理』を数多く伝えようとしているからです。
物事は公平に公正正大に立派に調整されている。病気や悲しみが伝染する一方、笑いと上機嫌もまた世の中でこの上なしの伝染力を振るうものです。
本書「クリスマスキャロル」のテーマは、『幸せになるには、何をすべきか?』と言う部分にあると思います。
ボクたちがこれからの人生で幸せに生きていくためのヒントが、数多く書かれていました。
最近では自己啓発本で「幸せになる10のヒント」みたいな本が出版されていますが、所詮は知識としてしか身につきません。
しかし、小説で『幸せ』について実感することで、多くの気づきがあります。
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